診療支援
治療

血管腫,脈管形成異常
hemangioma,vascular malformation
馬場直子
(神奈川県立こども医療センター皮膚科・部長)

治療のポイント

・乳児血管腫は増大期を経て次第に消退するものであるが,機能障害や後遺症のおそれがある場合には治療する.

・脈管奇形は成長に比例して増大し,生涯存続するため,早期治療を要する.

 「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」では,血管内皮細胞の増殖性がある乳児血管腫(infantile hemangioma)と増殖性はない脈管奇形(vascular malformation)に大きく大別されている.

 脈管奇形は主に,毛細血管奇形(CM),静脈奇形(VM),リンパ管奇形(LM),動静脈奇形(AVM)に分けられる.

 以下に,乳児血管腫(IH:infantile hemangioma),毛細血管奇形(CM:capillary malformation)(ポートワイン母斑,単純性血管腫),静脈奇形(VM:venous malformation)(海綿状血管腫),リンパ管奇形(LM:lymphatic malformation)(リンパ管腫),動静脈奇形(AVM:arteriovenous malformation)を解説する.

Ⅰ.乳児血管腫(IH)

A.治療の適応

 自然消退傾向を示すものであることを前提に,表在型で小さいもの,隆起の少ないものは従来どおり自然消退を待つ.長径が1.5cm以上の隆起性病変が露出部にあり,のちに瘢痕をきたすおそれのある場合,視力,呼吸,摂食,聴力,排尿,排便などに機能障害をきたすおそれがある場合,潰瘍や出血をきたしている場合などにプロプラノロール(ヘマンジオル)内服治療,もしくはレーザー治療の適応となる.

 治療は,生後5週~5か月の間に開始し,自然経過で乳児血管腫がピークに達する6か月~1歳までの増大期に継続して行う.

B.投与前後のバイタルチェック・検査

 投与前,直後,1時間後,2時間後に血圧,脈拍,呼吸数,血糖値を測定する.

C.プロ

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