治療のポイント
・「小児急性中耳炎診療ガイドライン2018」に則り,急性中耳炎診療スコアシートを用いて重症度分類を行い,重症度に従った治療アルゴリズムを参考にして治療法を選択する.
・細菌培養検査や薬剤感受性検査の結果を参考にして適切な抗菌薬を選択し,適量でかつ適切な期間の投与を行う.
・抗菌薬の投与だけに頼らず,鼓膜所見や全身状態に応じて適切な時期に鼓膜切開を行うことが重要である.
●病態
・急性中耳炎は上気道のウイルスあるいは細菌感染を契機に発症する中耳の急性感染症であり,鼻咽腔に常在する細菌が耳管経由で中耳腔へ侵入し発症する.
・「小児急性中耳炎診療ガイドライン2018」では急性中耳炎を「急性に発症した中耳の感染症で,耳痛,発熱,耳漏を伴うことがある」と定義しており,急性炎症の持続期間については3週間を超えないとしている.
・急性中耳炎が重症化・遷延化するリスク要因として,①22歳未満の低年齢,②集団保育,③起炎菌の薬剤耐性化などがあげられる.
●治療方針
急性中耳炎は重症度に応じて治療方法が選択される.急性中耳炎の重症度は「小児急性中耳炎診療ガイドライン2018」に記載されている急性中耳炎診療スコアシートを用いて評価し,重症度に応じた治療アルゴリズムに従って治療を行う.
抗菌薬の選択に際し細菌培養検査は重要であり,初診時に鼻咽腔,耳漏あるいは鼓膜切開時に得られた中耳貯留液を採取し,起因菌の同定と薬剤感受性検査を実施する.
A.軽症(急性中耳炎診療スコアシート5点以下)
軽症では,まず抗菌薬非投与で3日間の経過観察を行う.改善が認められた場合はそのまま経過観察とし,改善が認められない場合には下記の処方を行い,5日間投与する.抗菌薬の投与後は3~4日目に病態の推移を観察する.
Px処方例 下記➊を用いる.
➊サワシリン薬細粒 1回10mg/kg(成分量として) 1日3~4回(1日最大90mg
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/アモキシシリン水和物《サワシリン パセトシン ワイドシリン》
- 治療薬マニュアル2024/(合剤)アモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウム《クラバモックス》
- 治療薬マニュアル2024/セフジトレン ピボキシル《メイアクトMS》
- 治療薬マニュアル2024/テビペネム ピボキシル《オラペネム》
- 治療薬マニュアル2024/トスフロキサシントシル酸塩水和物《オゼックス》
- 治療薬マニュアル2024/アンピシリン水和物《ビクシリン》
- 治療薬マニュアル2024/セフトリアキソンナトリウム水和物《ロセフィン》
- 今日の診断指針 第8版/副鼻腔炎
- 今日の治療指針2023年版/急性胆管炎,急性胆嚢炎
- 今日の小児治療指針 第17版/ブドウ球菌感染症
- 今日の治療指針2023年版/急性中耳炎
- 今日の小児治療指針 第17版/扁桃炎
- 今日の救急治療指針 第2版/急性中耳炎
- 今日の小児治療指針 第17版/肺アスペルギルス症
- 今日の小児治療指針 第17版/鼻副鼻腔炎
- 今日の小児治療指針 第17版/新生児・乳児の鼻閉
- 今日の小児治療指針 第17版/クループ