治療のポイント
・再燃・再発の多い疾患であることを念頭におく.
・Ⅰ型アレルギー疾患であり,抗原曝露の回避が重要である.
・薬物療法では,くしゃみ・鼻漏型では抗ヒスタミン薬が,鼻閉型では抗ロイコトリエン薬が選択され,重症例では鼻噴霧用ステロイドが考慮される.
・5歳以上のダニアレルギー性鼻炎およびスギ花粉症に,舌下免疫療法が適応となった.
・重症例には手術も考慮されるが,顎顔面も含め発育を考慮し,術後の鼻処置を行うことができるのが前提である.
●病態
・発作性反復性のくしゃみ,水性鼻漏,鼻閉を3主徴とするⅠ型アレルギー疾患である.有病率の増加と低年齢化が問題となっており,特に小児スギ花粉症で著しい.
・くしゃみおよび水性鼻漏は,ヒスタミンによるH1受容体を介した神経反射が主体である.鼻閉は,ロイコトリエンなどの脂質メディエーターによる血管系への作用(血管拡張など)と鼻粘膜に浸潤した好酸球などによるアレルギー性炎症が主体である.
・原因アレルゲンとしては室内塵ダニとスギ花粉が多い.地域によりイネ科花粉やカバノキ科花粉も原因となり,時にペットや真菌なども原因となる.昆虫が原因となることは少なく,食物抗原によるアレルギー性鼻炎はまれである.
●治療方針
治療の目標は臨床的寛解であり,抗原曝露があっても日常生活に支障のない状態にもっていく.特に小児の場合は,発育や学習への影響を最小にする.
治療の柱は,①抗原の除去・回避,②薬物療法,③アレルゲン免疫療法,④手術療法である.病型と重症度に応じて治療法を選択する.
A.抗原の除去・回避
ダニアレルギーが多いので,ダニ除去を指導する.ダニの抗原量は特に寝室の絨毯や布団まわりで高い.身長の低い小児ではより曝露しやすいので,掃除を徹底させる.ダニは湿度45%以下では繁殖しづらいので湿度管理も行う.花粉症に対しては,小児用・小顔用不織布マスクなどを活用する.
B.薬
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