診療支援
治療

小児在宅医療を支える制度
奈倉道明
(埼玉医科大学総合医療センター小児科・講師)

 日常的に医療ケアを要する小児,いわゆる医療的ケア児は,2016年5月の児童福祉法の改正により,行政が支援すべき対象として認められた.医療的ケア児を支える制度としては,①医療,②障害福祉,③教育,④保育,⑤保健とを分けて理解する必要がある.

A.医療

1.診療報酬

 小児在宅医療は,病院に入院していた患者が退院する際に,在宅医療の支援を付加するところから始まることが多い.退院前後で病院は「退院前/退院後訪問指導料」「退院時共同指導料2」を算定できる.病院が在宅患者の緊急時に入院を受け入れる契約を文書で交わした場合,在宅療養後方支援病院を届け出て「在宅患者緊急入院診療加算」や「在宅患者共同診療料」を算定できる.また,在宅患者を受け取る地域の在宅療養支援診療所は,「退院時共同指導料1」「訪問診療料」「往診料」「在宅時医学総合管理料」「在宅療養指導管理料」を算定できる.ただし小児患者の場合は在宅医の訪問診療を受けられず,病院に通院している例が多い.この場合,病院が「在宅療養指導管理料」を算定している.

2.訪問看護

 訪問看護の報酬は,診療報酬とは別枠の医療保険制度「訪問看護療養費」から支払われる.高齢者の訪問看護は介護保険制度「訪問看護費」から支払われており,それとは異なる.

 小児患者は手間がかかるという理由で小規模の訪問看護ステーションから敬遠されがちだが,機能強化型訪問看護ステーションでは積極的に行っているところもある.訪問看護ステーションのなかには理学療法士,作業療法士,言語聴覚士がスタッフとして常駐しているところがあり,訪問看護の代替として訪問リハビリテーションを入れることができる.リハビリテーションの頻度が高いため,小児患者では訪問看護以上に訪問リハビリテーションのニーズが高い.

B.障害福祉

 小児の障害福祉は,障害者総合支援法に基づく訪問系サービス,児童福祉法に基づく通所系サー

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