診療支援
治療

在宅でのIVHの管理
石渡久子
(子ども在宅クリニックあおぞら診療所墨田・副院長(東京))

●病態

・短腸症候群をはじめとする消化器疾患を背景に経腸栄養が不可能あるいは不十分な場合,在宅でIVH(intravenous hyperalimentation,中心静脈栄養)管理を行う.悪性腫瘍末期で経口摂取が難しい場合にもIVH管理を行うことがある.

・在宅では日々の管理を医師や看護師だけでなく患者家族が行う場面があることが特徴であり,徹底した清潔操作による感染予防と閉塞予防が重要である.

●治療方針

A.医療機器と輸液製剤

 在宅でのIVH管理では,中心静脈ポートまたは皮下トンネルにカフを留置するタイプの中心静脈カテーテルを使用する.悪性腫瘍末期など全身状態が悪く使用期間が短い場合は,末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC:peripherally inserted central venous catheter)が選択される場合もある.

 現在,国内で在宅IVH管理に使用できるポンプには,テルモのカフティーポンプとニプロキャリカポンプの2種類がある.脂肪製剤を投与する場合は,シリンジポンプあるいは輸液ポンプが必要だが,これらは保険適用外である.

 高カロリー輸液は,無菌調製が可能な地域の薬局に訪問薬剤管理指導を依頼して週に1,2回調製して自宅に届けてもらい,家庭用の冷蔵庫で保管する.脂肪製剤も,在宅では中心静脈ルートの側管から投与することが一般的である.

B.感染の予防

 短腸症候群など消化管自体に異常がある患者では,特にカテーテル感染を起こしやすい.以下の点に注意が必要である.

 a)中心静脈ポートあるいはカテーテルを扱うときは,必ず手袋とマスクを装着する.輸液セットは週に2回の交換を推奨する場合が多い.輸液ラインは閉鎖回路とし,開放された三方活栓は使用しない.シリンジやルートを接続する際には接続部を,アルコール綿を3回替えて各10回,計30回拭く.

 b)ポートにヒューバー針を穿刺

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