●病態
・わが国の「児童虐待の防止等に関する法律」(児童虐待防止法)では,児童虐待を①身体的虐待,②心理的虐待,③性的虐待,④ネグレクトの4種類としている.虐待は,子どもの心身に大きな影響を与える.
・身体面では,さまざまな外傷・熱傷・骨折,放置による感染症や基礎疾患の重篤化,後遺症としての身体障害・視覚障害・知能障害,そして死亡がみられる.
・心理・行動面では,内在化問題として自尊心低下,自己否定観,無気力,不安,抑うつなどが,外在化問題として反抗,暴力,性的逸脱行為,反社会的行動などがみられる.幼児期には,過度の警戒心(反応性アタッチメント障害)や馴れ馴れしさ(脱抑制型対人交流障害)などの対人行動の問題がみられることもある.
●治療方針
A.処遇
わが国では,児童虐待防止法により,虐待されている子ども(以下,被虐待児)およびその疑いがある子どもに気づいた人には通告義務が課されている(罰則規定はな