ニュートピックス
・「日本版敗血症診療ガイドライン2020(J-SSCG2020)」では,輸液蘇生(3時間以内に晶質液30mL/kg)に反応しない敗血症性ショック患者に対する重症ユニットでの診療を推奨している.
治療のポイント
・ショックの覚知にはqSOFAやNEWSスコアなどのスクリーニング法を用いた全身状態の把握に加えて血清乳酸値が有用である.
・ショックを覚知したなら,「血液分布異常性ショック」,「循環血液量減少性ショック」,「心原性ショック」,「心外閉塞・拘束性ショック」に分類する.
・カテコールアミン投与が有用なのは敗血症やアナフィラキシーなどによる「血液分布異常性ショック」と,「循環血液量減少性ショック」である.
◆治療方針
A敗血症性ショック(血液分布異常性ショック)
1.初期輸液蘇生
血管内容量が不足している場合は,十分な初期蘇生輸液を投与する必要があり急速な輸液開始(輸液蘇生)を優先する.
Px処方例
乳酸リンゲル液(ソルラクト薬)輸液 30mL/kgを500mL/時で急速点滴静注
2.カテコールアミン投与
循環動態の維持が困難な敗血症/敗血症性ショック患者に対して,初期蘇生輸液と同時または早期(3時間以内)に血管収縮薬を投与する.
Px処方例
生理食塩液薬 47mL+ノルアドレナリン(ノルアドリナリン薬)注(1mg/A) 3A(ノルアドレナリン濃度として0.06mg/mL) 体重60kgであれば3mL/時で開始(0.05μg/kg/分) 持続点滴静注
!注意 原則として0.1μg/kg/分を超える場合は中心静脈より投与する.
3.ノルアドレナリン抵抗性の場合のカテコールアミン投与
バソプレシンもしくはドブタミンを投与する.バソプレシンを用いることが多いが,心エコーを行い左心室壁運動が低下している場合はドブタミンを優先する.ステロイド投与を検討する.
Px処方例 1),2)のいずれか
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