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治療指針

COVID-19
coronavirus disease 2019(COVID-19)
石田 直
(倉敷中央病院・副院長(岡山))

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GLCOVID-19に対する薬物治療の考え方 第14.1版

ニュートピックス

・軽症から中等症症例について,中和抗体薬のカシリビマブ・イムデビマブ(ロナプリーブ)とソトロビマブ(ゼビュディ)が使用可能となったが,新たな変異株の出現によって使用が一部制限されている.

・経口薬であるモルヌピラビル(ラゲブリオ)が承認,ニルマトレルビル・リトナビル(パキロビッド),チキサゲビマブ・シルガビマブ(エバシェルド)が特例承認された.

・酸素投与を要する症例について,トシリズマブが認可された.

・レムデシビルは,酸素投与を要さない症例においても,重症化リスク因子を有するなど,本剤の投与が必要と考えられる場合に3日間の投与が認可された.

治療のポイント

・重症度および重症化のリスクの有無により,治療方針や薬剤選択が異なる.

・8割以上は軽症患者である.

・重症化のリスク因子は,60歳以上,肥満(BMI≧30),心血管疾患(高血圧含む),慢性肺疾患,糖尿病,慢性腎障害,慢性肝疾患,各種免疫抑制状態などである.

・発症早期には抗ウイルス薬や抗体治療が有効であり,発症中~後期および中等症以降ではステロイドなど抗炎症薬や,免疫抑制・調整薬が用いられる.

◆病態と診断

A病態

・新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によるウイルス感染症である.

・ウイルス表面のスパイク蛋白が,宿主細胞のACE2受容体に結合し侵入する.

・主として,飛沫感染,接触感染により伝播するが,密閉空間ではエアロゾル感染も起こる.

・発症前よりウイルスの排出が多く,感染性が強い.免疫不全者を除くと,発症から10日で感染性はなくなると考えられている.

・高頻度にウイルス性肺炎を惹起するが,変異株(オミクロン株)では上気道炎にとどまることが多い.

B診断

PCR法やLAMP法にてウイルス特異的なRNA遺伝子配列を検出する,または抗原検査にてウイルス

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