今日の診療
治療指針

肺胞蛋白症
pulmonary alveolar proteinosis(PAP)
木田 博
(国立病院機構大阪刀根山医療センター・呼吸器内科部長)

頻度 あまりみない

GL肺胞蛋白症の診断,治療,管理の指針Ver.6.2(2012)

GL肺胞蛋白症診療ガイドライン2022

ニュートピックス

・国内および国際ランダム化2重盲検プラセボ対照試験において,2種のrhGM-CSF(sargramostim,molgramostim)吸入療法の有効性・安全性が証明された.

治療のポイント

・重症度3以上では全肺洗浄を行い(20~30%の症例で自然軽快あり),症状やQOLを改善させる.生命予後は比較的良好であるが,一部の症例で,感染症や肺線維症,呼吸不全を合併し,難治化する.

・管理区分重症度Ⅲ以上は指定難病の対象となる.難病情報センター「肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性)(指定難病229)」のページ参照(https://www.nanbyou.or.jp/entry/4774).

◆病態と診断

A病態

・肺胞腔内,終末細気管支腔内に肺サーファクタント由来物質が異常貯留し,呼吸困難をきたす.

・90~95%が抗顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(抗GM-CSF)自己抗体産生を原因とする自己免疫性肺胞蛋白症(PAP)である.5~10%が血液疾患(骨髄異形成症候群,白血病など)や免疫不全に合併する続発性PAP,先天性/遺伝性PAPは1%未満である.

・肺胞マクロファージ,末梢血好中球機能不全による易感染性(ノカルジア症,抗酸菌感染症など)を伴うことがある.

B診断

・潜行性の呼吸器症状(呼吸困難,咳など)と典型的なHRCT画像所見(crazy-paving pattern)から本症を疑い,気管支鏡検査で典型的な気管支肺胞洗浄液(白濁の外観)あるいは経気管支肺生検で病理所見を認めたら,PAPと診断できる.

・臨床症状と動脈血酸素分圧よりPAP重症度を決定する.難治例などの場合,PAP重症度に1度加えて管理区分重症度とする.難治例など以外の場合はPAP重症度がそのま

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