頻度 あまりみない
GLベーチェット病診療ガイドライン2020
治療のポイント
・日常診療では臨床症状の消失やCRPの陰性化が治療目標とされる.
・これらが達成化された患者において内視鏡的寛解(粘膜治癒)を目指すが,治療強化すべきかは,治療強化による有害事象のリスクなどを総合的に検討して決める.
・一部の患者では穿孔,出血,あるいは内科治療抵抗性のために外科手術が必要となるが,術後再発や再手術率も高い.
◆病態と診断
A病態
・ベーチェット病は再発性口腔内アフタ,皮膚症状,眼症状,外陰部潰瘍を4主徴候とする難治性全身性炎症性疾患である.
・腸管型ベーチェット病は神経型,血管型とともに特殊型に分類される.
・深掘れ潰瘍のため,突然の穿孔や大出血の危険があり,腸管型の合併は生命予後を左右するリスク因子とみなされる.
B診断
・回盲部に存在する類円形の深掘れ潰瘍を定型病変と定義し,これを有し完全型ないし不全型ベーチェット病の診断基準を満たすものを腸管型ベーチェット病という.
・全身症状からベーチェット病の診断が確定した患者に多彩な消化管病変が出現することがあるが,現在それらを腸管型ベーチェット病とはよばない.これらの非定型消化管病変は,「ベーチェット病に伴う消化管病変」とよんで明確に区別する.
・定型病変を有し,再発性口内炎を有さないものを単純性潰瘍というが,単純性潰瘍と診断されたのち消化管以外の症候が出現し腸管型ベーチェット病の診断がつくこともある.完全型よりも不全型が多く,眼症状の合併は少ない.また,HLA-B51陽性率は他病型と比較して低い.
◆治療方針
A治療の概要
寛解導入目的と寛解維持目的に分けて治療戦略を考える.
コルヒチンが腸管型ベーチェット病に使用されることもあるが,十分なエビデンスはない.
臨床症状の消失やCRPの陰性化を治療目標とするが,これらが達成化された場合には内視鏡的治癒を目指す.
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