頻度 あまりみない
ニュートピックス
・2022年,ACLFの診断基準が厚生労働省研究班より発表され,その背景肝の成因かつ増悪因子であるアルコール性肝障害が注目されている.
治療のポイント
・成因に対する治療とともに,必要に応じて肝炎鎮静化の目的でステロイドパルス療法を行う.
・人工肝補助療法,血漿交換,肝移植が可能な施設で,集学的治療を行うことが望ましい.
・全身の臓器障害や感染症の合併を厳重にモニタリングする.
・人工肝補助療法で覚醒率は改善するが,救命率を向上させるのはあくまでも肝移植であり,早期より肝移植の適応を念頭において治療を進める.
◆病態と診断
A病態
・急性肝不全とは,正常肝に急激かつ重篤な肝機能障害が生じて生体の恒常性が破綻し,高度の肝性脳症や黄疸などをきたす予後不良の疾患群である.
・劇症肝炎は,リンパ球浸潤など病理組織学的に肝炎像を呈する「急性肝不全・昏睡型」であり,肝炎ウイルス感染,自己免疫性肝炎,薬物アレルギーなどがその成因となる.
・近年,肝炎像を呈しない薬物中毒,循環障害などによる急性肝不全が増加している.
B診断
・急性肝不全の診断基準は,「正常肝ないし肝機能が正常と考えられる肝に肝障害が生じ,初発症状出現から8週以内に,高度の肝機能障害に基づいてPTが40%以下ないしはINR値1.5以上を示すもの」である.
・病型は,昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症の有無によって昏睡型と非昏睡型に分類される.「昏睡型」は,初発症状の発症から昏睡出現までの期間によって急性型(10日以内)と亜急性型(11日以降56日以内)に区分される.また,初発症状出現から8週以降24週以内に肝性脳症が出現する遅発性肝不全(LOHF:late-onset hepatic failure)と,アルコール多飲などを急性増悪要因として肝硬変に発症するACLF(acute-on-chronic liver failure
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