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GLエビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドライン2020
ニュートピックス
・補体C5a阻害薬であるアバコパンが,急速進行性腎炎症候群(RPGN)の原因となる顕微鏡的多発血管炎,多発血管炎性肉芽腫症を適応として2022年5月25日に薬価収載された.
治療のポイント
・早期診断,早期治療が腎予後・生命予後の改善のために重要である.
・RPGNの原因疾患や患者の状態により治療方針が異なる.
・高齢者に多い疾患であり,免疫抑制療法に伴う感染症がしばしば致命的になるため,感染症対策をしっかり実施する.
・初期治療で寛解となったのちもしばしば再発がみられるため,維持療法を行う.
◆病態と診断
A病態
・RPGNは腎臓に激しい炎症が生じ,数週~数か月の経過で急速に腎機能が低下する症候群である.
・組織学的には腎糸球体における係蹄壊死と多数の半月体形成を認めることが多い.
・抗好中球細胞質抗体(ANCA:anti-neutrophil cytoplasmic antibody)関連血管炎(顕微鏡的多発血管炎,多発血管炎性肉芽腫症,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症,腎限局型血管炎)では高頻度に腎障害を伴う.ANCA関連腎炎とよばれ,RPGNを呈することが多い.
・抗糸球体基底膜(GBM:glomerular basement membrane)腎炎も高頻度にRPGNを呈し,IgA腎症,膜性増殖性糸球体腎炎,ループス腎炎,IgA血管炎,クリオグロブリン血管炎などはしばしばRPGNをきたす.
B診断
・RPGNは指定難病の1つであり,①急速な腎不全進行(数週~数か月):3か月以内に30%以上のeGFRの低下が目安,②腎炎性尿所見(血尿,蛋白尿,円柱尿など)の両者が認められた場合にRPGNと確定診断される.必須ではないが,腎生検で壊死性半月体形成性糸球体腎炎を確認することが望ましい.
・RPGN
関連リンク
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