Ⅰ.尿細管性アシドーシス
頻度 あまりみない
治療のポイント
・遺伝子異常に伴う先天性の場合とシェーグレン症候群や薬剤性などの二次性の要因による場合があり,まずは鑑別が必要である.
・治療開始が遅れることで低身長やくる病をきたすことがある.また,遠位尿細管性アシドーシスでは腎石灰化や尿路結石を認める.
・アルカリ製剤やKの補充により,低身長やくる病,腎石灰化や尿路結石などの症状は軽快/消失する.それにより通常の日常生活を送ることが可能となる.後遺症を残さないためには早期診断が重要である.
◆病態と診断
A病態
・尿細管性アシドーシス(RTA:renal tubular acidosis)は,尿中への水素イオンの排泄や重炭酸イオンの再吸収が障害されるため,アニオンギャップ正常の代謝性アシドーシスを示す一連の疾患群の総称である.
・遺伝子異常に伴う先天性およびシェーグレン症候群や薬剤性など後天性の機序による腎尿細管機能異常により発症する.
・先天性は1型(遠位),2型(近位),3型(混合型),4型(高K血性)尿細管性アシドーシスに分類される.
B診断
・アニオンギャップ正常の代謝性アシドーシスを認め,下痢症状を認めない場合尿細管性アシドーシスを疑う必要がある.
・尿細管性アシドーシスの診断においては先天性かシェーグレン症候群や薬剤性による後天性かの鑑別が非常に重要である.
・病型分類を確定するために,塩化アンモニウム負荷試験,フロセミド負荷試験,重炭酸負荷試験などの負荷試験が行われてきたが,近年は遺伝学的検査により確定診断がなされる.
◆治療方針
アルカリ製剤の投与により代謝性アシドーシスの補正を行う.2型で大量,4型で中等量,1型では少量の補充でアシドーシスの補正が可能である.それにより小児におけるくる病の改善,成長障害の是正や腎石灰化の進行を抑制することが可能である.二次性が疑われる場合はその原因の除去
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