今日の診療
治療指針

尿細管間質性腎炎(急性,慢性)
tubulointerstitial nephritis(TIN)
正木崇生
(広島大学病院教授・腎臓内科)

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Ⅰ.急性尿細管間質性腎炎

治療のポイント

・ほとんどの原因は薬剤性か感染症である.

・自己免疫性疾患,IgG4-RKD,腫瘍も念頭におく.

◆病態と診断

A病態

・腎尿細管間質へ炎症細胞が浸潤し,急激に腎機能低下を生じる症候群である.

・原因薬剤として,抗菌薬,非ステロイド性抗炎症薬,抗てんかん薬,免疫チェックポイント阻害薬,その他アロプリノール,プロトンポンプ阻害薬,アリストロキア酸などの報告がある.

・原因となる感染症として,細菌,真菌,ウイルス,寄生虫が報告されており,COVID-19の報告もある.

・自己免疫性疾患関連は,シェーグレン症候群,IgG4関連腎臓病(IgG4-RKD),サルコイドーシス,クリオグロブリン血症,血管炎などがある.

・リンパ腫,骨髄腫などの腫瘍性のものもある.

ぶどう膜炎を伴うTINU(tubulointerstitial nephritis and uveitis)も臨床上みられる.

B診断

・腎前性,腎後性の要因がなく,蛋白尿の増加もなく,尿細管マーカーであるβ2 ミクログロブリン,α1 ミクログロブリン,N-アセチルグルコサミニダーゼ(NAG),尿中好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)などの上昇を認めれば本症を疑う.

・血中,尿中の好酸球上昇,血清IgEの上昇を認める場合がある.

・画像検査で腎腫大を認める場合がある.

・ガリウム(Ga)シンチグラフィは補助診断に使われるが,確定診断は腎生検である.

・IgG4-RKDについては,①尿所見,腎機能検査に何らかの異常を認め,血液検査にて高IgG血症,低補体血症,高IgE血症のいずれかを認める.②画像上特徴的な異常所見〔びまん性腎腫大,腎実質の多発性造影不良域,単発性腎腫瘤(hypovascular),腎盂壁肥厚病変〕を認める.③血液学的に高IgG4血症(135mg/dL以上)を認める.④腎臓以外の

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