頻度 あまりみない
GL溶血性尿毒症症候群の診断・治療ガイドライン(2014)
GL非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診療ガイド2015
GL血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)診療ガイド2020
治療のポイント
・血栓性微小血管症(TMA)は原因となる疾患・病態に応じた適切な治療が重要である.
・TMAの診断・治療は高度な専門性を要するため,専門医へのコンサルトをすみやかに行うことが望ましい.
◆病態と診断
A病態
・TMAは,血小板減少,溶血性貧血(破砕赤血球の存在,血清ハプトグロビン著減,血清間接ビリルビン上昇,血清LDH上昇など),臓器障害の3徴候を呈する疾患群で,ADAMTS13活性の著減の有無により大きく2つに分けられる(図).
・代表的な疾患は,血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と,志賀毒素産生大腸菌(STEC:Shiga toxin-producing Escherichia coli)感染による溶血性尿毒症症候群(STEC-HUS),さらに補体活性化の制御異常によるatypical HUS(aHUS)である.それ以外は2次性TMAとする.
B鑑別・診断
・ADAMTS13活性著減(<10%)の場合,TTPと診断できる.ADAMTS13に対する自己抗体(インヒビター)が陽性であれば,後天性TTPと診断する.
・STEC-HUSは,STEC感染〔便培養,志賀毒素直接検出法(EIA),抗LPS抗体など〕を確認する.
・aHUSは,補体制御因子の遺伝子変異,または後天的に抗体が産生され,補体活性化の制御異常が起こる疾患である.C3低値,C4正常の場合,aHUSを強く疑うが,C3が正常の症例も存在する.約30%で既知の遺伝子変異が認められないため,遺伝子変異の同定は必須ではないが,2020年にCFH,CFI,CD46(MCP),C3,CFB,THBD,DGKEの7遺伝子変異の測定が保険適用とな