今日の診療
治療指針

慢性腎臓病(保存期腎不全)
chronic kidney disease(non-dialysis dependent chronic renal failure)
岡田浩一
(埼玉医科大学教授・腎臓内科学)

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GLエビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018

ニュートピックス

・血糖降下薬として保険適用となっているSGLT2阻害薬のうち,ダパグリフロジン(フォシーガ)錠10mgが非糖尿病性CKDの腎機能悪化を抑制することが示され,CKD治療薬として保険適用が広がった.

治療のポイント

・自覚症状に乏しいため,診断の遅れや治療の中断が起こりやすい.

・診断と重症度判定には,eGFRを用いた腎機能,尿蛋白クレアチニン比を用いた蛋白尿定量が重要である.

・腎生検,原因疾患に対する専門的治療や多職種による管理などのため,適切なタイミングで腎臓専門医に紹介し,連携して診療する.

・生活習慣改善や食事療法と薬物療法からなる集学的治療が有効である.

・ある程度進行している場合,治すのではなく,悪くしない治療であることを理解させる.

◆病態と診断

A病態

・CKDは原疾患にかかわらず,腎障害を示唆する検査所見(検尿異常,画像異常,血液異常,病理所見など)の存在とGFR60mL/分/1.73m2 未満のいずれか,もしくは両方が3か月以上持続することによって診断される病態である.

・CKDは末期腎不全のみならず,糖尿病,高血圧,脂質異常症などと並ぶ心血管病のリスク因子である.

・GFRの低下(日本人では<45mL/分/1.73m2)および蛋白尿の増加に応じて,末期腎不全および心血管病のリスクが上昇する.

・糖尿病合併CKDでは,末期腎不全への到達リスクより心血管病の発症リスクが大きくなる.

B診断

・CKDはGFRと蛋白尿によって診断・分類される.

・GFRとして内因性クレアチニンクリアランスの測定は煩雑であり,血清クレアチニン値と年齢,性別から推算されるeGFRで代用可能である.

 eGFR〔mL/分/1.73m2〕=194×SCr-1.094×年齢-0.287×0.739 女性の場合)

・蛋白尿の評価には24

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