今日の診療
治療指針

赤芽球癆
pure red cell aplasia(PRCA)
山崎宏人
(金沢大学准教授・輸血部)

頻度 あまりみない

GL赤芽球癆診療の参照ガイド 令和1年改訂版(第6版)

治療のポイント

・自然寛解する急性型があるため,1か月間は無治療で経過観察する.

・病因によって治療方針が異なるため,基礎疾患の有無を確認する.

・特発性および胸腺腫関連はシクロスポリン,大顆粒リンパ球白血病関連はシクロホスファミド単独,あるいはプレドニゾロンとの併用が第1選択薬.

・シクロスポリン・プレドニゾロン・シクロホスファミドが奏効した場合でも,維持療法を必要とする例が多い.

◆病態と診断

A病態

・骨髄の赤芽球系前駆細胞の増殖・分化障害により,網赤血球が減少し高度の貧血を呈する.

・先天性(乳児期に発症するDiamond-Blackfan貧血)と後天性に分けられ,後者は原因を特定できない特発性と続発性に分類される.

・続発性の主な病因には,胸腺腫,大顆粒リンパ球白血病や悪性リンパ腫などのリンパ増殖性疾患,自己免疫疾患,パルボウイルス感染症,薬剤性,抗エリスロポエチン(EPO)抗体,ABO主不適合同種造血幹細胞移植,妊娠などがある.

B診断

・貧血,網赤血球の著減(通常1%未満),骨髄中の赤芽球のみの著減を認めれば診断できる.白血球数や血小板数は減少しない.

・続発性の病因診断のため,薬剤歴,妊娠歴,ヒトパルボウイルスB19-DNA,画像診断(胸腺腫・リンパ増殖性疾患の除外),末梢血リンパ球サブセット,T細胞抗原受容体クロナリティ解析,血清EPO濃度および抗EPO抗体などを調べる.

◆治療方針

 被疑薬があれば中止・変更し約1か月間経過観察する.病因診断の過程で基礎疾患が判明すれば,その治療を優先する.薬剤やパルボウイルス感染症による急性型であれば,通常3週間以内に改善する.ただし,抗EPO抗体産生による場合の自然寛解はまれである.高度の貧血があれば赤血球輸血を考慮する.1か月の経過観察あるいは基礎疾患の治療後も網赤血球の

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