今日の診療
治療指針

骨髄異形成症候群
myelodysplastic syndromes(MDS)
前田智也
(埼玉医科大学国際医療センター准教授・造血器腫瘍科)

頻度 あまりみない

GL造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版補訂版

治療のポイント

・リスク分類により治療目標は大きく異なるため,正確な病態把握が求められる.

・疾患特性や併存症などの患者背景,患者希望を考慮し治療方針を決定する.

◆病態と診断

A病態

・骨髄異形成症候群(MDS)は造血幹細胞が腫瘍化したクローン性疾患であり,複数の遺伝子変異が発症に関与する.

無効造血と前白血病状態を特徴とし,高齢者(特に≧70歳)の,男性に多い.

・血球減少に由来する症状・所見を呈するが,症状を欠くこともある.

B診断

・1系統以上の血球減少(成人男性でHb値<13g/dL,女性では<12g/dL,好中球数<1,800/μL,血小板数<15万/μL)の持続で疑う.

・血球減少や血球形態異常(異形成)を引き起こす炎症性疾患や栄養障害を除外し,骨髄検査によって特徴的な異形成や染色体異常を認めた場合に診断が確定する.芽球比率は20%未満(WHO分類)であり,化学療法などの既往があれば2次性(治療関連)とする.

・しばらく経過を追うことで診断に至る場合や,白血病の初期段階がMDSと判定されることがある.

◆治療方針

 治療法の選択には,血球減少の程度および白血病化にかかわる因子(骨髄芽球比率や染色体所見)を指標にした予後予測スコアに基づく層別化が必須である.汎用される国際予後判定システム改訂版(IPSS-R:Revised International Prognostic Scoring System)では,Very Low,Low,Intermediate,High,Very Highの5群に分類する.Very Low,Lowは低リスク群,High,Very Highは高リスク群に大別され,各々治療方針が大きく異なる〔IntermediateはPS(performance status)や年齢などで判断される〕.

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