頻度 あまりみない
治療のポイント
・血栓症や出血の予防が治療目標である.
・心血管合併症のリスク因子(高血圧,脂質異常症,糖尿病,肥満,喫煙)の管理も併せて行うことが重要である.
◆病態と診断
A病態
・造血幹細胞レベルの腫瘍化によって生じる骨髄増殖性疾患の1つで,すべての系統の血球数が増加するが,なかでも赤血球数の増加が顕著である.
・総血液量や血液粘稠度の増加が原因で,頭痛,頭重感,赤ら顔,耳鳴りなどの症状がみられる.血栓症,出血,高血圧が主な合併症である.
・JAK2遺伝子変異がほぼすべての症例でみられる.
・生存期間の中央値は13.7年で,慢性の経過をたどり,血栓症や出血の合併が予後に影響する.
・長期の経過のなかで,急性白血病や骨髄線維症への移行が一部の症例でみられる.
B診断
・WHO分類改訂版2017に準じて診断する.
・JAK2遺伝子変異の検索が必須である.
・血栓症のリスク評価を行う.年齢60歳以上または血栓症の既往がある場合は高リスク群,いずれもない場合には低リスク群に分類される.
◆治療方針
瀉血,抗血栓療法,細胞減少療法により血液粘度を低下させて血栓症を予防することが治療目標である.低リスク群では瀉血と低用量アスピリン,高リスク群では加えて細胞減少療法を行う.また,心血管合併症のリスク因子(高血圧,脂質異常症,糖尿病,肥満,喫煙)の改善に努めるよう生活指導を併せて行うことが重要である.
日本血液学会「造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版」も参照されたい.
A瀉血療法
ヘマトクリット値45%未満を目標に,200~400mLの瀉血を週1回程度行い,目標に到達後は,月1回~数か月に1回の頻度で瀉血を行い,ヘマトクリット値を維持する.高齢者では,1回100~200mLの少量瀉血として,頻回に行うほうが安全である.
B抗血栓療法
血栓症予防目的で,低用量アスピリンを投与する.
Px処方