頻度 あまりみない
GLWilson病診療ガイドライン2015
治療のポイント
・初期治療と維持治療で分けて行う.
・キレート剤であるペニシラミンは除銅効果に優れているも副作用が強いため,使用する際は少量から開始する.
・神経型の場合,キレート剤単剤投与で神経症状の悪化が認められることがあるため亜鉛製剤を併用することが推奨される.
・家系内検索やスクリーニングで発見された発症前型に対しては,亜鉛製剤で治療を開始する.
◆病態と診断
A病態
・銅輸送にかかわるATP7B遺伝子異常による常染色体潜性(劣性)遺伝疾患である.
・銅を肝細胞のゴルジ体に輸送できず,細胞質に蓄積した銅はセルロプラスミンと結合できない.そのため血清セルロプラスミンと銅が低下し,遊離銅が臓器に蓄積する.
・銅が蓄積する臓器症状により肝型,神経型などに分類される.
B診断
・血清セルロプラスミン値低下,24時間尿中銅増加,血中銅低下,ペニシラミン負荷試験で尿中銅排泄増加,肝組織内銅含有量増加,ATP7B遺伝子解析,カイザー・フライシャー輪の有無などが特徴的である.
◆治療方針
体内に蓄積する銅を尿中排泄させる初期治療と,腸管での銅吸収抑制と肝臓での銅毒性抑制により銅蓄積を予防する維持療法に分けられる.下記に記載する3剤とも空腹時に服用する必要があるので注意する.
A初期治療
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
関連リンク
- 治療薬マニュアル2023/ペニシラミン《メタルカプターゼ》
- 治療薬マニュアル2023/トリエンチン塩酸塩《メタライト》
- 治療薬マニュアル2023/酢酸亜鉛水和物《ノベルジン》
- 臨床検査データブック 2023-2024/葉酸〔FA〕 [保]* 150点
- 臨床検査データブック 2023-2024/NUDT15遺伝子コドン139多型診断〔NUDT15遺伝子多型診断〕 [保] 2,100点
- 新臨床内科学 第10版/(7)ビタミンB6欠乏症
- 今日の診断指針 第8版/Wilson病
- 今日の小児治療指針 第17版/ホモシスチン尿症
- 今日の小児治療指針 第17版/Wilson病
- 今日の小児治療指針 第17版/ビタミン代謝異常(葉酸,ビオチン,B12)
- 今日の小児治療指針 第17版/微量元素欠乏症
- 今日の小児治療指針 第17版/ネフロン癆