頻度 割合みる
治療のポイント
・障害された下垂体前葉ホルモンについて末梢ホルモンやホルモン自体での補充療法を行う.
・甲状腺機能低下症と副腎機能低下症を合併する場合,ヒドロコルチゾンの投与を先行する.
・ヒドロコルチゾン補充においてはストレス時に通常の2~3倍の増量を行う.
◆病態と診断
A病態
・下垂体前葉ホルモン〔副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),甲状腺刺激ホルモン(TSH),成長ホルモン(GH),黄体刺激ホルモン/卵胞刺激ホルモン(LH/FSH),プロラクチン(PRL)〕の分泌低下により,それぞれのホルモン自体あるいは末梢ホルモン作用不足の症状を生じる.
・ACTH分泌低下は続発性副腎機能低下症をきたし,全身倦怠感,食思不振,体重減少,低血糖,低血圧,低Na血症,好酸球増多を認める.
・TSH分泌低下は中枢性甲状腺機能低下症をきたし,不活発,代謝の低下,浮腫,体重増加,耐寒能低下,徐脈,皮膚乾燥を認める.
・GH分泌低下は小児期には成長障害,成人期には易疲労感,集中力低下,気力・体力低下,うつ状態,内臓肥満に伴う糖脂質代謝異常,脂肪肝,筋肉量減少,骨粗鬆症を認める.
・LH/FSH分泌低下は続発性性腺機能低下症をきたし,小児期では二次性徴の欠如/進行停止,成人期では月経異常,乳房萎縮,性欲低下,勃起障害,不妊,内臓肥満,筋肉量減少,骨粗鬆症を認める.
・PRL分泌低下は産褥期の乳汁分泌不全をきたす.
B診断
・上記症状を認めた場合,頭蓋内器質的疾患,手術・放射線療法,頭部外傷,周産期異常,小児癌,分娩時大量出血の既往,ステロイドや免疫チェックポイント阻害薬使用歴を確認する.頭蓋内器質的疾患の評価には下垂体MRIが有用である.
・血液検査にて早朝空腹時の下垂体前葉ホルモンと対応する末梢ホルモンの基礎値を同時に測定する.すなわち,ACTHとコルチゾール,TSHとfree T4・free T3,GHと
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