頻度 あまりみない
治療のポイント
・中枢性尿崩症の原因疾患が特定できれば,まずはその治療を行う.
・中枢性尿崩症の治療は,バソプレシン(AVP)のアナログ製剤であるデスモプレシンを投与することにより,尿量を減少させることである.
・低Na血症の予防のため,多尿,口渇,多飲をコントロールできる最小量のデスモプレシンを用い,1日1回程度,デスモプレシンの効果が切れる時間を設定し過剰な水を排出できるようにする.
◆病態と診断
A病態
・中枢性尿崩症は,抗利尿ホルモンであるバソプレシン(AVP)の分泌障害によって,低張性多尿(尿浸透圧300mOsm/kg以下,尿量3L/日以上),多飲が認められる疾患である.腎臓でのAVPの作用障害は,腎性尿崩症を呈する.
・中枢性尿崩症の原因には,特発性,腫瘍(ジャーミノーマ,頭蓋咽頭腫,髄膜腫,リンパ腫,また転移性腫瘍など),炎症(リンパ球性漏斗下垂体後葉炎,IgG4関連下垂体炎など),サルコイドーシス,ランゲルハンス細胞組織球症,血管性(脳出血・脳梗塞など),感染(結核,脳炎など),外傷,脳外科手術,遺伝性などがある.
・多尿が起こっても口渇感が障害されていなければ水バランスは保たれ,基本的には血清ナトリウム(Na)濃度は正常であるが,口渇感の障害を合併した場合には反復する高Na血症を呈し,無飲性尿崩症(adipsic diabetes insipidus,従来,本態性高Na血症とよばれている)と称される.
B診断
・上記症状,病態が認められる.5%高張食塩水負荷試験で,血清Na濃度,血漿浸透圧上昇に対するAVP分泌の相対的低下,またバソプレシン負荷試験で尿浸透圧の上昇によって診断する.水制限試験は患者に苦痛を与えることが多いため留意する.
・下垂体MRI T1強調画像で下垂体後葉高信号の消失が認められる.さらに,MRI検査などで原因疾患を検索することが必要であるが
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