今日の診療
治療指針

好酸球性食道炎・好酸球性胃腸炎
eosinophilic esophagitis(EoE),eosinophilic gastroenteritis(EGE)
長尾みづほ
(国立病院機構三重病院臨床研究部長)

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GL幼児・成人好酸球性消化管疾患診療ガイドライン(2020)

ニュートピックス

・現在,lirentelimab,ベンラリズマブ,デュピルマブ,cendakimabなど生物学的製剤の治験がEoEを中心に進められている.

治療のポイント

・EoEとEGEは治療の第1選択薬が異なる.

・EoEはPPI,EGEでは経口ステロイドを第1選択薬として用いることが多い.

・小児を中心に食物除去が有効なことがある.

◆病態と診断

A病態

・好酸球性消化管疾患(EGIDs:eosinophilic gastrointestinal disorders)は好酸球の消化管局所への異常な集積から好酸球性炎症が生じ,消化管組織が傷害され,機能不全を起こす疾患の総称である.部位により好酸球性食道炎(EoE:eosinophilic esophagitis),好酸球性胃炎(EG:eosinophilic gastritis),好酸球性胃腸炎(EGE:eosinophilic gastroenteritis),好酸球性大腸炎(EC:eosinophilic colitis)に大別される.ここでは,EG,ECはEGEに包括する.

・日本ではEoEに比べEGEの報告が多いが,欧米ではEoEのほうが多い.

・特にEGEでは鑑別疾患が多岐にわたり,ほかの消化管疾患と合併していることもある.

B診断

・EoEでは嚥下障害,つかえ感といった食道機能障害に起因する症状が出現する.食道粘膜の生検で上皮内に好酸球数15/HPF以上が存在する.胃食道逆流症(GERD:gastro-esophageal reflux disease)との鑑別を要するが合併していることもある.食道のカンジダ感染も内視鏡像が類似しているが,組織学的な所見で鑑別する.

・EGEでは腹痛,下痢,嘔吐などの症状を有する.内視鏡所見では,胃,小腸,大腸の粘膜内に20

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