頻度 あまりみない
GL血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)
治療のポイント
・血管炎のなかでは抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎はMPO-ANCAまたはPR3-ANCAが診断のマーカーとなるが,結節性多発動脈炎の場合には特異的マーカーがないため診断が難しい.難治性の皮膚潰瘍や末梢神経障害などで疑われた場合には,すみやかにリウマチ専門医に紹介する.
・一般に副腎皮質ステロイドが有効だが,難治例ではシクロホスファミドを併用して初めてコントロールできる例も存在する.主要臓器の病変の程度により,副腎皮質ステロイドの量と免疫抑制薬の種類と量を決定する.
◆病態と診断
A病態
・結節性多発動脈炎では血管内皮に対する自己抗体が関与するという報告もあるが,病因は不明である.HBV感染に続発する2次性のものが知られているが,近年減少しつつある.
・病理学的には罹患血管に好中球および単核球が浸潤し,均質な好酸性に染色されるフィブリノイド壊死,内・外弾性板の断裂が認められる.血管内腔の狭窄や閉塞による血流障害により,臓器障害が惹起される.血管の脆弱性により動脈瘤が形成され,破裂することもある.
B診断
・厚生労働省の診断基準に基づいて診断する.「抗リン脂質抗体症候群・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症・結節性多発動脈炎・リウマトイド血管炎の治療の手引き2020」参照.
◆治療方針
主要臓器病変の重症度により,副腎皮質ステロイド単独の治療か,免疫抑制薬を併用するか検討する.血管炎の予後の指標となるFFS(five factors score)〔血清Cr濃度>1.58mg/dL,尿蛋白>1g/日,重症の消化器病変(消化管穿孔,消化管出血,膵炎),心筋障害,中枢神経障害〕のうち1つ以上がある症例は重症で,シクロホスファミドなど免疫抑制薬併用の適応とされる.FFS=0では非重症例として副腎皮質ステロイド単独の治療
関連リンク
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