今日の診療
治療指針

シェーグレン症候群
Sjögren's syndrome(SS)
松本 功
(筑波大学教授・膠原病リウマチアレルギー内科学)

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GLシェーグレン症候群診療ガイドライン2017年版

治療のポイント

・眼および口腔の乾燥症状のみの場合は,患者の主訴に対する対症療法を考慮する.

・他の臓器障害や自己免疫疾患を伴う場合には,ステロイドや免疫抑制薬などの必要性を考慮する.

◆病態と診断

A病態

・シェーグレン症候群は,50~60代女性に好発し,唾液腺や涙腺などの外分泌腺を標的とした自己免疫疾患である.

・腺組織では単核球を主体とする細胞浸潤を認め,腺破壊により唾液・涙液などの分泌低下をきたして眼や口腔の乾燥症状を呈する.

・種々の自己抗体産生と肺・肝・腎など多彩な臓器病変(いわゆる腺外症状)を併発しうる,全身性自己免疫疾患でもある.

B診断

・1999年厚生省改訂診断基準により,①涙腺あるいは口唇腺組織検査,②口腔検査,③眼科検査,④血清自己抗体検査の4項目中いずれか2項目以上を満たすものを診断する.

・国際的には2016年の米国リウマチ学会-欧州リウマチ学会分類基準が用いられている.

◆治療方針

 自己免疫疾患の1つであるが,治療方針は腺乾燥症状のみ(口腔と眼で対処方針が少し異なる)の場合,あるいは腺外症状や関節リウマチを含む他の膠原病を伴う場合で治療方針が異なる.「シェーグレン症候群診療ガイドライン2017年版」も参照されたい.

A腺型症状

1.口腔乾燥症状

 主に対症療法が中心で,水分補給やガムを噛むなどで分泌を促す.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)セビメリン(サリグレンまたはエボザック)カプセル(30mg) 1回1カプセル 1日1回 食後で開始し,忍容性があれば3回まで増量

2)ピロカルピン(サラジェン)錠(5mg) 1回1錠 1日1回 食後で開始し,忍容性があれば3回まで増量

Px使い分けのポイント

・1)では腹痛や嘔気など,2)では発汗が出現しやすい.1日1回で始め,症状・副作用に応じて増減する.両者ともエ

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