今日の診療
治療指針

複合性局所疼痛症候群(反射性交感神経性ジストロフィー)
complex regional pain syndrome(reflex sympathetic dystrophy)
三木健司
(大阪行岡医療大学医療学部特別教授)

頻度 あまりみない(2007~2011年の米国のNation-wide Inpatient Sample data baseの調査にて0.07%とされている.女性,頭痛,うつがあるとより多いとされている)

ニュートピックス

・CRPSは疼痛を主訴とする疾患であり,外傷などに引き続いて発症することから後遺障害などとの関連性を問われることが多い.痛みは被害者意識,補償請求など心理・社会的要因が関連する.後遺障害に関しては他覚所見を重点とし,自覚的な痛みだけで評価することがないように注意が必要である.

◆病態と診断

A病態

・古くは交感神経の関与が発症に関与し,reflex sympathetic dystrophyとよばれていたが,交感神経の関与は少なく,病名が複合性局所疼痛症候群(CRPS:complex regional pain syndrome)と変更になった.

・また局所の関与だけではなく,中枢機能の感作がみられる症例も報告されており,単なる外傷ではなく中枢機能障害性疼痛の1つと考えられている.

B診断

・まず,IASP(国際疼痛学会)診断基準(1994)の全項目が該当することを確認する.その後,後述する手順に則り,日本版CRPS判定指標でCRPSかどうかを判定する.症状が類似するものは精神疾患を含め非常に多く,わずかな左右差を陽性としてはならない.

1.IASP診断基準(1994)

1)外傷などの侵害刺激や(ギプスなど)動かさない時期があったこと

2)原因となる刺激から判断して不釣合いなほど強い持続痛,アロディニア(非侵害刺激により痛みの誘発される状態),あるいは痛覚過敏現象があること

3)病期のいずれかの時期において疼痛部位に浮腫,皮膚血流の変化,あるいは発汗機能の異常のいずれかがあること

4)もし上記のような症状がほかの理由で説明できる場合には,この疾患名はあてはまらない

・1)~4)の診

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