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治療のポイント
・血管性うつ病は脳血管障害とその危険因子を病態基盤とするうつ病であり,脳血管障害の治療に併行して,抗うつ療法が行われる.
・薬物療法として,選択的セロトニン再取り込み阻害薬などの抗うつ薬が挙げられ,低用量から開始することが推奨される.
・非薬物療法として,認知行動療法や短期問題解決法などの心理療法が挙げられ,医療者は訴えを傾聴し受容的な態度を取ることが重要である.
◆病態と診断
A病態
・血管性うつ病は高齢者うつ病の半数を占める.
・血管性うつ病には脳卒中後うつ病と,症候性脳卒中を欠くものの,MRIで特徴的な所見(脳室周囲や深部の白質病変)が観察される場合も含まれる.
・脳血管障害の蓄積により,前頭葉-皮質下-辺縁系ネットワークが切断され発症する.
・抑うつ気分を認めず,情動や意欲・興味の欠如が主体となるアパシー状態(意欲低下)を示すこともある.
B診断
・血管性うつ病の診断には,大うつ病が,臨床的にあるいは頭部MRI画像などにより説明可能であることが必須である.
・加えて,以下の1)~3)のうち少なくとも1つを満たすことが診断の要諦となる.
1)脳卒中既往,一過性脳虚血発作,局所神経徴候,のいずれかの臨床所見
2)白質または灰白質の高信号(Fazekas 2度以上,または直径5mm以上の輪郭不明瞭な病変),白質病変の癒合,皮質または皮質下の梗塞,のいずれかの画像所見
3)遂行機能,記憶,情報処理速度,いずれかの認知ドメインの障害
・非血管性のうつ病と比較して,易刺激性や罪業感は乏しい.
・うつのスクリーニングには,Zungのうつ病自己評価尺度(SDS:Self-rating Depression Scale),高齢者うつ病評価尺度(GDS:Geriatric Depression Scale),ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D:Hamilton Rating Sca
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