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GL脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018
治療のポイント
・根本的治療法として確立したものはなく,対症療法が主となる.
・リハビリテーションの励行は筋力維持および廃用症候群予防の観点から推奨される.
・指定難病制度,介護保険制度(第2号被保険者として40~64歳で利用可能),身体障害者制度など,適切な社会保障制度を利用することが望ましい.
◆病態と診断
A病態
・脊髄小脳変性症(SCD)とは,慢性進行性の小脳性運動失調を中核症状とする一群の神経変性疾患の総称である.
・病理学的には小脳を中心とした系統変性をきたすものが多いが,病変の程度や分布は疾患により異なる.
・遺伝性SCDと孤発性SCDに大別され,分子遺伝学的な研究が進み,起因遺伝子の解明された遺伝性SCDが増えている.
・孤発性/非遺伝性の約3/4は多系統萎縮症(MSA:multiple system atrophy)であり,残り1/4が臨床的に特発性小脳失調症(IDCA:idiopathic cerebellar ataxia)〔旧疾患名 皮質性小脳萎縮症(CCA:cortical cerebellar atrophy)〕と診断されている.
・IDCAの診断には,小脳症候を主徴とするMSAの初期,家族歴の明確でない遺伝性SCD,二次性運動失調症などとの鑑別診断が重要である.
・いずれの病型においても,現時点で根治療法は見出されておらず,難治性神経疾患の範疇に属する.
・本邦で比較的頻度の高い顕性遺伝性SCDとして,脊髄小脳失調症1型(SCA1:spinocerebellar ataxia type 1),SCA2,Machado-Joseph病(MJD),歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA:dentatorubral-pallidoluysian atrophy),SCA6,SCA31が挙げられる.
・この