今日の診療
治療指針

修正型電気けいれん療法
modified electroconvulsive therapy
嶽北佳輝
(関西医科大学准教授・精神神経科学)

ポイント

・電気けいれん療法(ECT)とは,電気的刺激によって脳に全般性けいれんを誘発し,神経生物学的効果を通して,精神症状の改善をはかる治療法である.

・静脈麻酔薬と筋弛緩薬を使用し,全身麻酔下で行われる手技を修正型ECTとよぶ.

・パルス波治療器であるサイマトロンが医療機器として承認されている.

・適応となる診断や適応となる状況,身体的状況,患者および家族の希望などを総合的に考慮し,実施が検討されるべきである.

A適応となる診断

・うつ病

・双極性障害

・統合失調症

・その他:緊張病,悪性症候群,パーキンソン病など

B適応となる状況

1.1次治療として適応となる状況

・迅速で確実な症状改善が必要な場合(自殺の危険性,身体衰弱,昏迷など)

・ほかの治療法で危険性が高い場合(高齢者,妊娠,身体合併症など)

・以前の電気けいれん療法(ECT)で反応良好であった場合

・患者の希望がある場合

2.2次治療として適応となる状況

・薬物治療への反応性不良または耐容性不良など

C禁忌

・脳深部刺激療法のための脳内電極

DECTに際して高度の危険性を伴う状態

・重度かつ不安定な心血管疾患

・破裂の可能性のある動脈瘤など

・腫瘍などによる頭蓋内圧亢進

・最近の脳梗塞

・重度な呼吸器疾患

・米国麻酔科学会の術前分類で4または5と評価される状態

E有害事象

・死亡率:約1件/8万回

・主な有害事象:一過的な認知機能障害,筋肉痛,せん妄,遷延性けいれん,不整脈などの循環器系疾患,誤嚥などの呼吸器系疾患など

F治療効果

・特に高齢の精神病性を伴った重度のうつ病や緊張病には高い有効性が認められる.

・統合失調症に対しては,抗精神病薬併用下でECTを行った場合にのみ,抗精神病薬治療単独と比較し,短期的に精神症状を改善する可能性がある.

・急性期治療後に再燃が多いことが知られているが,継続的な薬物療法や維持/継続ECTが再燃防止に有効である.

G治療の実際

・精神科医,麻

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