頻度 よくみる
GLうつ病治療ガイドライン(第2版)(2017)
治療のポイント
・重症度により治療方針が異なるため,重症度に応じた治療を選択する.
・うつ病には背景となる成因がさまざまなので,成因に基づいた治療が優先される.心理学的要因が大きい場合は環境調整や精神療法が治療の中心となり,生物学的背景が強い場合は薬物治療が中心となる.
・再発・再燃が多い疾患なので症状が消失しても1年間は薬物治療を継続する.
・治療法が異なるため双極性障害との鑑別が重要となる.
◆病態と診断
A病態
・うつ病の発病は性格,環境,身体疾患,遺伝などがかかわっており,病態は複雑でかつ不明なところが多い.成因別に外因性,心因性,内因性に分けられることがあるが,実臨床ではそれほど明確に区別できるものではない.
B診断
・米国精神医学会の診断・統計マニュアル(DSM-5)を用いる.DSM-5の大うつ病性エピソードの診断基準9項目(抑うつ気分,興味や喜びの喪失,食欲減退,睡眠障害,精神運動の制止,易疲労性・気力の低下,強い罪責感,集中力低下,自殺念慮)のうち5つを満たし,かつ対人関係上・職業上の機能障害が生じているもの.また,原因となるほかの身体疾患が認められないもの.双極性障害のうつ病相と症状は類似しているため,鑑別には過去の躁病エピソードの既往を確認する.
・軽症は診断基準9項目のうち,5項目をおおむね超えない程度に満たす場合で,症状の強度として,苦痛は感じられるが,対人関係上・職業上の機能障害はわずかな状態にとどまる.
・重症は診断基準9項目のうち,5項目をはるかに超えて満たし,症状はきわめて苦痛で,機能が著明に損なわれているもの.中等症は軽症と重症の中間に相当するものとなっている.
◆治療方針
うつ病の治療では休息,支持的精神療法,疾病教育,環境調整という基礎的介入を原則とする.この基礎的介入に抗うつ薬を中心とした薬物治療