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GLうつ病治療ガイドライン第2版(2017)
◆病態と診断
A病態
・うつ病が治療に反応しない場合,患者側要因と医療側要因の両方が関与することが多い.安易に「難治性うつ病」とレッテルを貼ってはならない.
B診断
・医療側要因による難治(相対的難治)かどうかの判断のため,臨床診断を再確認する.
・一般身体疾患による気分障害,物質・医薬品誘発性気分障害(アルコールを含む),統合失調症・双極性障害の除外,併存症のスクリーニング,心理社会的要因の検討などを行う.
・新薬を服用中の場合,添付文書のみならず,英語文献も調査し,抑うつの副作用がないか確認する.
・それまでの治療内容がガイドラインに従っているかどうかを検証する.
◆治療方針
日本うつ病学会の「うつ病治療ガイドライン」に基づいて治療を行う.
抗うつ薬は原則として単剤とする.2つの単剤治療で反応しない場合,例外的に検討しうる併用療法として,ミルタザピンまたはミアンセリン(シナプス前α2 受容体阻害薬)とその他のクラスの抗うつ薬の併用がある.同クラスの抗うつ薬や3剤以上の抗うつ薬の併用は避ける.
ベンゾジアゼピン系薬は原則として併用せず,やむを得ず併用する場合でも必要最小限とし,常用量依存に注意する.
A心理社会的治療
最低限,心理教育を行うとともに,可能であれば認知行動療法を行う.集団認知行動療法でもよい.認知行動療法が受けられない場合は,認知行動療法の自習書やオンラインツールなどを活用する.
不適切な休息,休職は患者の自己回復力を奪い,慢性化につながる可能性もある.漫然と休息・休職を指示するのでなく,状態に応じて行動活性化も取り入れる.
患者がライフイベントに伴う感情の動きを疾病として理解する場合もあるため,いたずらに医療化せず,支持的,問題解決的に接する.
B薬物療法
無効であった抗うつ薬と異なるクラスの抗うつ薬の単剤治療に変更し