今日の診療
治療指針

頸椎捻挫(外傷性頸部症候群)
sprain of cervical spine(traumatic cervical syndrome)
山田 圭
(久留米大学准教授・整形外科)

頻度 よくみる(人口10万人あたり300人)

治療のポイント

・日常生活の継続を指示.

・カラーは頭位維持困難な頸部痛,神経症状の程度により72時間以内を目途に使用.

◆病態と診断

A病態

・筋・椎間板・椎間関節などが損傷され,炎症や筋肉れん縮が起こると疼痛や頸部可動域制限を起こす.

・受傷前から神経周囲の狭窄・圧迫があると,神経根が刺激され上肢痛・感覚障害・筋力低下を伴うことがある.

・めまい,耳鳴り,霧視,眼痛,咽頭異常感など多彩な症状を認め,自律神経の関与などが考えられている.

B診断

症状頸部可動域制限神経学的所見から重症度を診断し頸椎X線写真で骨傷がないことを確認する.

◆治療方針

 カナダ・ケベック報告に準じ述べる.

AGrade 0:頸部愁訴(痛みや凝り)・可動域制限なし

 経過観察.

BGrade 1:頸部愁訴・圧痛を認めるが可動域制限なし

 外用薬を処方する.

CGrade 2:頸部愁訴,圧痛,可動域制限あり

 内服薬を処方する.

Px処方例 1),2)のいずれかを用いる.

1)ロキソプロフェン(ロキソニン)錠(60mg) 1回1錠 1日3回 毎食後

2)セレコキシブ(セレコックス)錠(100mg) 1回1錠 1日2回 食後

 可能であれば上記にレバミピドやランソプラゾールを併用する.

 1か月投与後も強い疼痛が持続すれば下記3)や4)の処方への変更を慎重に検討する.

3)トラマドール・アセトアミノフェン(トラムセット)配合錠 1回1錠 1日1~3回

4)トラマドール(トラマール)OD錠(25mg) 1回1錠 1日1~4回

 投与期間は3か月間を目途とし,その後減薬,中止が推奨されている.

DGrade 3:上肢痛に神経学的異常所見に一致する画像(狭窄・圧迫)所見がある

 NSAIDsが無効なら下記処方を検討し高齢者なら低用量から開始する.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)プレガバリン(リリ

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