今日の診療
治療指針

非特異的腰痛症
low back pain
川口善治
(富山大学教授・整形外科)

GL腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版

ニュートピックス

・2019年に「腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版」(以下,腰痛GL)が発刊された.また2021年には「慢性疼痛診療ガイドライン」が発刊され,そのなかには腰痛の項が設けられている.

・非特異的腰痛は原因のはっきりしない腰痛であるが,腰痛GLでは未確立の疾患群を詰め込んだ症候群とされており,いまだ検討の余地が残るとされている.

・非特異的腰痛は病態の解明が進むと次第に使われなくなる診断名(用語)である可能性があり,初版の腰痛GLにおける「腰痛の約85%が非特異的腰痛である」という根拠は再考する必要があると記載されている.

治療のポイント

・患者の訴える腰痛の特徴から病態を推定し,それがX線,CT,MRI,ほかの特殊検査においてとらえられる異常所見と合致するかを考える.

・非特異的腰痛と診断したなら,急性期であるのか,慢性期であるかを判断し,治療としては腰痛GLのエビデンスを参考にしつつ,まずは非侵襲的手法のなかで適切と考える方法を施行する.

・慢性腰痛については痛みを0にすることではなく,ADLやQOLを上昇させることが目的であることを患者に伝え,理解を得るようにする.

◆病態と診断

・腰痛は,急性腰痛(発症からの期間が4週間未満),亜急性腰痛(発症からの期間が4週間以上,3か月未満),慢性腰痛(発症からの期間が3か月以上)の3つに大別される.

非特異的腰痛は医療者誰もが納得する共通の診断・治療法がないものであり,筋,筋膜性や椎間板性,心因性腰痛などが当てはまる可能性がある.

・非特異的腰痛の診断には,さまざまな器質的疾患による腰痛の除外診断を行う必要がある.

・腰痛GLに記載されている危険信号(RFs:red flags)は器質的疾患による腰痛を示唆する徴候であり,これがあった場合は精密検査で器質的疾患の有無を精査する.

◆治療方針

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