頻度 あまりみない
Ⅰ.腎動脈瘤
治療のポイント
・自然破裂のリスクが高い場合が治療適応である.
・治療の第1選択は,経カテーテル動脈塞栓術である.
◆病態と診断
A病態
・動脈壁の中膜や弾性線維が脆弱化して腎動脈本幹やその分枝が限局的に拡張する.
・CTや血管造影で偶然発見されることが多い.
・自然破裂はまれである.
・症状は血尿,腰背部痛などであるが,無症状のことが多い.
B診断
・造影CT,MRA(MR angiography)で診断を行う.
・嚢状,紡錘状,解離性,腎内動脈瘤に分類する.
◆治療方針
直径2cm以上,非石灰化,高血圧,増大傾向,妊娠が破裂リスクとなる.自然破裂リスクが低い症例では,注意深く経過観察を行う.
治療の第1選択は経カテーテル腎動脈塞栓術であり,その適応外では外科的治療を選択する.経カテーテル動脈塞栓術と開腹術が行われ,形状,位置,分枝の状況をみて検討する.
A手術適応
破裂リスクがある,自覚症状がある,腎動脈解離の合併,腎梗塞の合併,妊娠の予定などが手術適応となる.
■専門医へのコンサルト
・発見した場合は,専門医へコンサルトする.
■患者説明のポイント
・自然破裂の可能性とリスク因子を説明する.
・治療方法を説明したうえで,専門医へ紹介する.
Ⅱ.腎動静脈瘻
治療のポイント
・後天性では自然消失することがあるため,症状とともに治療適応を検討する.
・経カテーテル動脈塞栓術が第1選択である.
◆病態と診断
A病態
・腎内で静脈系と動脈系が異常な交通をもった状態.
・先天性と後天性に分類され,後天性が約3/4を占める.
・後天性の原因としては医原性が多く,針生検や腎部分切除後にみられる.
・屈曲蛇行した異常血管(nidus)を介して動脈と静脈が連結した蔓状型(cirsoid type)と,動脈と瘻孔を形成した静脈の瘤状拡張を呈する動脈瘤型(aneurysmal type)に分類される.
・先天性では血尿