今日の診療
治療指針

腎・尿管結石
renal and ureteral calculi
磯谷周治
(順天堂大学大学院准教授・泌尿器外科学)

頻度 よくみる〔人口10万人対137.9人(男性:192人,女性:87人)〕

GL尿路結石症診療ガイドライン2013年版

ニュートピックス

・経皮的腎結石砕石術(PNL)と経尿道的尿管結石破砕術(TUL)の併用が保険診療に認可された.

・砕石効率のよいレーザー砕石装置や,ディスポーザブル尿管鏡が導入されている.

治療のポイント

・結石の診断評価にはCT検査が最も適している.

・疝痛発作に対しては鎮痛薬で痛みの管理を行う.

・10mm以下の尿管結石は,自然排石が期待できることが多く,薬物治療などの保存的観察が可能である.自然排石しないと考えられるときには積極的治療(手術療法)を考慮する.

・尿路結石は再発することが多く,飲水指導などの再発予防が重要である.

◆病態と診断

A病態

・腎や尿管で結晶成分が固まり石となる.結石が尿路を閉塞したり,尿路感染症を伴うと症状が起こる.生涯罹患率は男性で9.0%,女性で3.8%である.男性では30~60歳代,女性は50~60歳代にピークを認める.

・結石の成因には,原因疾患を認めないものも多く排石した場合には結石成分分析を行う.結石成分分析はシュウ酸カルシウム,リン酸カルシウムなどのカルシウム結石が大半を占める.

・結石を引き起こす基礎疾患として,副甲状腺機能亢進症や高尿酸血症などの内分泌代謝異常,持続する尿路感染などがある.遺伝性の疾患であるシスチン尿症や,キサンチン尿症,原発性高シュウ酸尿症,遠位尿細管性アシドーシスなども尿路結石を引き起こす.

B診断

・上部尿路結石の症状は背部の疼痛発作が重要な徴候であり,通常激しい背部痛側腹部痛が認められる.同時に,肉眼的血尿を認めることが多く,大抵の場合には尿潜血陽性であるが,陰性になることもある.尿中への排石を認めることがあるので注意を要する.また,発熱を認める場合は腎盂腎炎の併発を考慮する.

・病歴聴取において,過去の尿路結

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