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GL皮膚瘙痒症診療ガイドライン2020
治療のポイント
・原因となる基礎疾患のある場合は,その治療を優先する.
・保湿外用薬の使用などスキンケアの指導を行う.
・スキンケアで効果不十分の場合,抗ヒスタミン薬の内服,鎮痒性外用薬,漢方薬,ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液などの適用を考慮する.
・難治例では紫外線治療,抗不安薬,ガバペンチノイドによる治療が考慮される(保険適用外).
・肝疾患,腎疾患に伴うかゆみにはナルフラフィンが治療選択肢の1つとなる.
◆病態と診断
A病態
・皮膚瘙痒症は皮膚病変が認められないにもかかわらず瘙痒を生じる疾患である.ただし,掻破により二次的に掻破痕や色素沈着を生じることがある.
・高齢者で多くみられ,性別では女性のほうが多い傾向にある.
・ほぼ全身にかゆみを生じる汎発性皮膚瘙痒症,体表面の限られた部位にかゆみを生じる限局性皮膚瘙痒症に分類される.汎発性皮膚瘙痒症の原因として乾皮症(ドライスキン)が最も多く,そのほか,特発性,加齢性,症候性,妊娠性,薬剤性,心因性などがある.限局性皮膚瘙痒症は肛囲・陰部や頭部に多い.
・かゆみの性状は多彩で,乾皮症ではむずむず/チクチクとなり,肝・腎疾患では体の中から沸くようなかゆさなどと表現される.
B診断
・汎発性皮膚瘙痒症患者には何らかの背景因子を伴うことがあるため,原因検索が重要である.皮膚瘙痒症の原因は大きく乾皮症,薬剤,基礎疾患の3つがある.乾皮症の存在は視診によって判断できる.
・肝・胆道疾患,腎疾患,内分泌疾患,血液疾患,内臓悪性腫瘍などの基礎疾患を念頭においた問診とスクリーニングを行うことが推奨される.
・薬剤,食物もまた瘙痒を誘発することがあるため,内服薬の種類,サプリメントや健康食品などの摂取歴を確認する.不眠,疲れ,精神的ストレスも皮膚瘙痒症の誘因となりうる.
◆治療方針
A生活指導
主たる原因は乾皮症
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