今日の診療
治療指針

帯状疱疹
herpes zoster
川村龍吉
(山梨大学大学院教授・皮膚科学)

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ニュートピックス

・COVID-19の潜伏感染期間中または発症後,新型コロナウイルスワクチン接種後(3週まで)に帯状疱疹が出現したという報告が多数みられる.

治療のポイント

・抗ウイルス薬の内服が基本であり,発症後できるだけ早期に投与を開始する.

・重症例や免疫能低下例では入院のうえ,抗ウイルス薬の点滴静注を行う.

◆病態と診断

・疲労やストレスなどで水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)に特異的な細胞性免疫が低下することによって,知覚神経節に潜伏感染しているVZVが再活性化して発症する.

・帯状に並ぶ紅暈を伴った小水疱,紅色丘疹,浮腫性紅斑が片側性のデルマトーム(皮膚分節知覚帯)に一致して出現し,通常,皮疹出現前から同部に痛みを伴う(前駆痛).

・細胞性免疫能が低下している状態では本症を発症しやすく,また重症化しやすい.

・非典型例や臨床診断が困難な場合,イムノクロマト法によるVZV抗原迅速診断キット(デルマクイックVZV)や塗抹標本を用いた蛍光抗体法によるVZV抗原検出が有用となる.

◆治療方針

 アメナメビル以外の抗ウイルス薬は主に腎排泄であるため,腎機能低下患者では腎機能に応じて減量する.

A軽症・中等症例

Px処方例 下記1)~3)のいずれかを用いる.必要に応じて4),5)を併用する.

1)アメナメビル(アメナリーフ)錠(200mg) 1回2錠 1日1回 7日間

2)ファムシクロビル(ファムビル)錠(250mg) 1回2錠 1日3回 7日間

3)バラシクロビル(バルトレックス)錠(500mg) 1回2錠 1日3回 7日間

4)アセトアミノフェン(カロナール)錠(200mg) 1回2~4錠 1日3~4回 毎食後・就寝前

5)ジメチルイソプロピルアズレン(アズノール)軟膏またはフシジン酸ナトリウム(フシジンレオ)軟膏 1日1~2回 ガーゼ

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