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GL皮膚真菌症診療ガイドライン2019
ニュートピックス
・テルビナフィン耐性皮膚糸状菌がインドで増え,本邦でも在日インド人の体部白癬,さらには足白癬,爪白癬からも耐性菌の検出が報告されるようになった.今後,日本でも耐性菌が蔓延する可能性がある.
治療のポイント
・誤診を防ぐには,治療前の真菌検査が大切である.
・手・足白癬,体部・股部白癬の治療の中心は外用,爪白癬,頭部白癬,白癬性毛瘡の治療の中心は内服となる.
◆病態と診断
A病態
・皮膚糸状菌症は,真菌(カビ)の一種である皮膚糸状菌が感染することで発症する疾患である.
・皮膚糸状菌は,蛋白質の一種であるケラチンを栄養分として必要とし,ケラチンの存在する皮膚の角層,毛,爪に感染する.
・感染部位により手白癬・足白癬(みずむし),爪白癬(爪みずむし),体部・股部白癬(ぜにたむし・いんきんたむし),頭部白癬(しらくも),白癬性毛瘡(ひげ白癬)に分けられる.
・皮膚糸状菌は,その棲息場所により人を好む好人性,動物を好む好獣性,土壌を好む好土性に分けられるが,皮膚糸状菌症の原因菌の大多数を占めるのは好人性のTrichophyton rubrumとT. interdigitaleである.
B診断
・皮膚糸状菌症の誤診を防ぐには,治療前に可能な限り真菌検査を行ったほうがよい.主な真菌検査としては,①直接顕微鏡検査(直接鏡検法)と②真菌培養法がある.
・菌種の同定には培養検査が必要であるが,皮膚糸状菌のコロニーの形成には2週間以上かかることが多いため,実臨床では迅速診断ができる直接鏡検の優先度が高い.
・真菌検査の重要性はガイドラインでも強調されている.近年(2014年以降に)発売された爪白癬治療薬では,外用薬2種類,内服薬1種類すべてに,処方前の真菌検査の必要性が添付文書に明記されており,検査なしでの処方は保険上も査定対象になっている.
◆治療方針
A
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