頻度 割合みる(3~10歳に最も多く,男児が多い.男女比は1.5~2.0:1)
GL血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)
治療のポイント
・治療の基本は,対症療法と粘膜病巣感染の検索・治療である.
・腹痛,関節痛が強い場合にはステロイドが効果的だが,腎炎の発症予防にはならない.
・IgA血管炎の管理で最も重要なことは,合併する腎炎の発症を正しく診断し,腎炎を悪化させないことである.
◆病態と診断
A病態
・血管壁や腎メサンギウム領域に,IgAを主体とする免疫複合体が沈着して障害を起こす,全身性の小血管炎である.IgAサブクラスのIgA1分子ヒンジ部の糖鎖不全の異常が原因とされている.
B診断
・非血小板性減少性の紫斑(約75%に発症),関節痛/関節炎(約50~75%に発症),消化器症状(腹痛は約50%,胃腸出血は約20~30%で発症)を3徴とする.
・紫斑に先行して関節症状,消化器症状が出現する症例(約40%)も存在し,診断に苦慮する場合もある.
◆治療方針
治療の基本は,対症療法と粘膜病巣感染の検索と治療である.粘膜病巣感染(慢性副鼻腔炎,慢性扁桃腺炎,中耳炎,齲歯,歯肉炎)の有無を確認し,必要であれば専門科へ診察,治療を依頼する.腹痛・関節痛が強い場合,腎機能障害を伴う腎炎を合併する場合は入院の適応である.
AIgA血管炎
1.皮膚症状
触知可能な左右対称性の紫斑を下肢中心に認める.背部,殿部にも多くみられるが,手背,足背,陰嚢にみられることもある.約2週間で消退するが,再発することも多い.有痛性浮腫を伴う場合や瘙痒感を伴う場合は,安静を保ち,NSAIDs,抗ヒスタミン薬の投与を検討してよい.
2.関節症状
下肢の大関節(足関節,膝関節)症状が現れることが多いが,約1/3の症例で手関節,肘関節にも症状がみられる.多くの症例でNSAIDsが有効だが,効果不十分な場合はステロイドを使用する
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