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治療のポイント
・小児の急性腎炎症候群のほとんどは溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)であり,本項ではPSAGNについて解説する.
・治療のポイントは,溢水による高血圧と腎機能障害による高K血症の2つである.
・尿所見は軽微あるいは認めずに浮腫や高血圧を呈し,肺水腫(呼吸障害)や高血圧脳症(けいれん)で発症する腎外症候性急性糸球体腎炎の存在を認識する.
・乏尿・浮腫期は,塩分,水分を厳格に制限するが,利尿期に入れば,腎前性腎不全を防ぐために,すみやかに解除する.
◆病態と診断
A病態
・急性腎炎症候群は,「急性発症する血尿,蛋白尿,高血圧,糸球体ろ過量の低下,Naと水の貯留をきたす症候群」と定義されており,小児では80~90%が溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN:post-streptococcal acute glomerulonephritis)である.
・腎炎惹起性抗原とこれに対する抗体による免疫複合体が糸球体に沈着し,補体第2経路を活性化することで発症する.
・典型例では,A群β溶血性レンサ球菌による咽頭炎から10~14日後,皮膚感染症から3~6週間後に肉眼的血尿,浮腫,高血圧が出現する.
・対症療法のみで通常は1~2週間以内で利尿期に入り,浮腫や高血圧は消失する.
・蛋白尿は数日以内に減少し始め1~2か月以内には消失するが,顕微鏡的血尿は6か月以上持続することがある.
B診断
・ほぼ全例に血尿を認め,約1/3は肉眼的血尿(コーラ色)を呈する.
・高度蛋白尿は持続せず,低アルブミン血症を認めても多くは希釈性である.
・溶連菌感染は,培養(咽頭,皮膚),迅速抗原検査,血清ストレプトリジンO(ASO)や抗ストレプトキナーゼ抗体(ASK)上昇によって証明される.
・一過性の血清補体価(C3,CH50)の低下を認めるが,発症1~2週後から回復し始め,通常8週間以内に正常化する.
・腎機
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