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小児

学校における腎疾患学童生徒の管理
management of school children with kidney diseases
杉本圭相
(近畿大学主任教授・小児科学)

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 腎疾患を抱える学童生徒の生活は,さまざまな面で影響を受ける.特に,ネフローゼ症候群やCKDのように重篤で長期にわたる場合,慢性疾患を抱えながら生活するストレスから,ネガティブな自己イメージをもち,家族や学校の教員,友人との関係に悩むこともある.また,行動制限を余儀なくされ,学校や課外活動に参加することが難しくなる可能性がある.本項では,急性期を過ぎ,登園・登校可能となった腎疾患学童生徒の学校などにおける運動,食事,そして感染管理の3点について,ネフローゼ症候群,CKDを中心に概説する.

A運動管理

 小児期における不必要な運動制限は,精神的,肉体的な発育を阻害するため避けるべきである.肉体的には筋力,心肺機能,および骨密度の低下を引き起こす.日本学校保健会の学校生活管理指導表に準じた指導を行う.園児では,原則として他園児と同様の運動を許可することが多い.疾患の重症度により,A~Eの5段階に分け,適正範囲で体育活動に参加できるような指示を行う.また,「その他注意すること」の欄には,主治医・学校医の意見も明記できるため,運動ごとに配慮してほしい点などを随時追記する.具体的な指導表の記載方法については,日本学校保健会の「腎臓手帳 児童・生徒用(令和2年度改訂)」を参照されたい.

 運動強度の設定は,軽い運動:ほとんど息がはずまない運動,中等度の運動:少し息がはずむが,息苦しくない程度の運動,強い運動:息がはずみ,息苦しさを感じるほどの運動,と定義されている.運動クラブは,強い運動を上回る強度である.運動強度の区分は,平均的な体力を有する小児に設定されているため,個々の体力・運動力に応じた管理設定が重要である.

1.急性糸球体性腎炎

 外来管理できる状態であれば,運動制限は原則として不要である.ただし,高血圧に対し降圧薬使用下であれば,個々の体力・運動力に応じ,徐々に可能な活

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