今日の診療
治療指針
小児

低身長
short stature
志賀健太郎
(横浜市立大学附属市民総合医療センター・小児総合医療センター部長)

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治療のポイント

・低身長の原因検索のためには,現在の身長のみでなく,身長・体重の経過を知ることが重要である.

・体質性低身長や家族性低身長をはじめとする多くの低身長に対して,確実に有効とされる治療方法は存在しない.

・低身長の原因となる疾患がある場合には,まずその疾患の治療を優先する.保険適用となっている疾患に関しては,成長ホルモン補充療法を考慮する.

◆病態と診断

A病態

・低身長は同性,同年齢の標準身長の-2SD(標準偏差)以下と定義される.ただし,これに該当するものがすべて治療の対象になるわけではない.

・低身長の原因は広範囲にわたる.最も多いのは,内分泌などの異常を伴わない体質性低身長もしくは家族性低身長である.それ以外にも,成長ホルモン分泌不全症を含む各種の内分泌異常,代謝や栄養状態の問題,染色体異常や遺伝子異常,骨系統疾患,各種の慢性疾患,心理・社会的な要因によるものなどがあり,その鑑別が必要である.

B診断

・一般診察として全身状態,体幹・四肢,顔貌異常の有無,思春期徴候をチェックする.また身長・体重に加えて頭囲,上肢長の測定を行う.母子手帳や健康手帳などの記録をもとに成長曲線を作成する.

・末梢血,一般生化学,血液ガス分析,内分泌検査(TSH,FT3,FT4,IGF-1,LH,FSH,エストラジオール,テストステロン)を行う.成長ホルモン分泌負荷試験は必要に応じて考慮する.

・女児では染色体検査(ターナー症候群の鑑別),またプラダー・ウィリー症候群,ヌーナン症候群を疑った場合には遺伝子検査も考慮する.

・画像検査としてX線(骨年齢の評価,脊椎,四肢骨の評価など),頭部MRI検査などを行う.

◆治療方針

 規則正しい生活(特に十分な睡眠)と適度な運動,栄養バランスのとれた食生活は身長予後改善のうえでも重要である.

 低身長の原因となる基礎疾患がある場合には,まずその疾患の治療

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