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GL先天性甲状腺機能低下症マススクリーニングガイドライン(2021年改訂版)
ニュートピックス
・「先天性甲状腺機能低下症マススクリーニングガイドライン」が,2014年の改訂以降に公表された知見をふまえ2021年改訂版として作成された.
・一過性または永続性かの鑑別として,早期中止を考慮できる月齢ごとのレボチロキシンナトリウム(L-T4)治療量の目安が設けられた.
・現行のTSHスクリーニングでは発見できない中枢性甲状腺機能低下症に対する,FT4 を指標としたスクリーニングの取り組みを紹介している.
治療のポイント
・知的予後の改善のためには,早期に十分量のL-T4 補充療法で血清FT4,TSH値の正常化を目指す.
・乳幼児期の急速な体重の増加に合わせたL-T4 投与量の調節のため,適切なタイミングで甲状腺機能のモニタリングを行う.
・アドヒアランスを維持できるよう,成長発達段階に応じた本人への介入を行う.
◆病態と診断
A病態
・先天性甲状腺機能低下症(CH)は,胎生期または周産期に生じた甲状腺の機能異常による先天的な甲状腺ホルモン分泌不全の総称である.
・病因として,遺伝子異常が同定される頻度は20%以下であり,また責任遺伝子は多岐にわたる.ダウン症など染色体異常症の合併例も存在する.一過性CHの成因としては,ヨウ素欠乏または過剰,甲状腺疾患を有する母体からの移行抗体,抗甲状腺薬の影響,低出生体重児などがある.
B診断
・新生児マススクリーニングプログラムの一環として,すべての新生児において,生後4~6日に踵から採血されたろ紙血で甲状腺刺激ホルモン(TSH)が測定される.
・TSHが陽性基準以上の場合,精査機関に即紹介となるが,陽性基準以下,基準値以上の場合は,分娩施設で再採血にて判定される.
・精査機関では,甲状腺疾患の家族歴,ヨウ素造影剤の使用歴,臨床症状(遷延性黄疸,便秘,臍ヘルニ