頻度 よくみる
GL急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)
GL肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)
GL2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン
治療のポイント
・患者の訴える「胸痛」はさまざまで,どのような胸の痛みかをはっきりとらえることが重要.
・いわゆる胸痛疾患でも患者は胸が痛いと訴えない場合もあるので注意.
・冠動脈疾患に伴う胸痛の可能性が高い場合,心電図検査および可能であればトロポニン迅速測定を行う.
・胸痛と心電図で虚血性変化を伴う場合,急性冠症候群の疑いで緊急対応可能な施設への搬送を行う.
・問診・身体所見・酸素化の状態から肺血栓塞栓症を疑う場合は,診断および重症度判定を迅速に行う必要があるので対応可能な施設への搬送を行う.
・移動性胸背部痛,血圧左右差などで大動脈解離を疑う場合,診断および緊急治療可能な施設への搬送を行う.
Ⅰ.冠動脈疾患
◆病態と診断
A病態
・冠動脈疾患に伴う胸痛は心筋虚血により生じる.冠動脈内プラークの破綻によって不安定狭心症あるいは心筋梗塞を発症する.
◆治療方針
A冠動脈疾患に伴う発作時対応
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
1)ニトログリセリン(ニトロペン薬)舌下錠(0.3mg) 1回1錠
2)ニトログリセリン(ミオコール薬)スプレー(0.3mg) 1回1噴霧 舌下投与
3)硝酸イソソルビド(ニトロール薬)スプレー(1.25mg) 1回1噴霧 口腔内投与
Px使い分けのポイント
・スプレー製剤のほうが舌下錠よりも即効性がある.
!注意 投与後,症状・心電図変化を再確認する.血圧低下は比較的軽微であるが前後での血圧変化に注意する.低酸素血症(酸素飽和度90%未満)を伴う場合は酸素投与を行う.
!不適切処方 他の硝酸薬系経口薬は,即効性がないため初期対応には使用しない.
!不適切処方 酸素飽和度90%以上