診療支援
治療

機械的人工呼吸法 [■呼吸系の緊急処置]
☆☆
mechanical ventilation
飯田淳義
(岡山大学・救命救急・災害医学)

ニュートピックス

・成人患者へICUで人工呼吸を行う場合の鎮静薬として,デクスメデトミジンはほかの鎮静薬と比較しせん妄発症リスクの低下,人工呼吸器管理期間およびICU入室期間の短縮を認めることが2022年のシステマティックレビューで明らかになった.

治療のポイント

・A/Cモードで開始し,患者の状態をみながら調節する.

・鎮痛薬は優先的に,鎮静薬は必要時に使用し,筋弛緩薬はたいてい不要である.

・トラブルシューティングは「DOPE」を想起する.

A適応

1.呼吸不全の適応

 原則として,酸素投与では対応不可能またはさらなる悪化が予想される呼吸不全が適応となる.呼吸不全とは通常,動脈血酸素分圧(PaO2)≦60mmHgを指す.

2.呼吸不全以外の適応

 急性喉頭蓋炎や下顎骨折,上気道熱傷などで気道開存性が保証できない症例,大量出血や重篤な不整脈などによる治療抵抗性ショックの症例,GCS8以下の意識障害やけいれん重積などの症例では,肺胞のガス交換能が維持されている場合でも気管挿管・機械的人工呼吸法の適応となる.

B基本的な呼吸モード

1.volume controlとpressure control

 volume control(VC)では1回換気量を設定し,その換気量(volume)が吸気時間内に達成できるような人工呼吸器回路内の流速でもって送気される.pressure control(PC)では送気時の気道内圧を設定し,吸気時間内は人工呼吸器の回路内がその気道内圧(pressure)でもって送気される.VCでは1回換気量が保証されるメリットがあるが,気道抵抗上昇や肺コンプライアンス低下があると気道内圧が過大となるデメリットがある.一方,PCでは気道内圧が過大にならないよう送気できるメリットがあるが,気道抵抗上昇や肺コンプライアンス低下があると1回換気量が過小になるデメリットがある.現在では過大な気

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