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GL肺癌診療ガイドライン2022年版
治療のポイント
・進展型小細胞肺癌(ED-SCLC)か,限局型小細胞肺癌(LD-SCLC)で放射線を併用するかどうかを選択する.
・年齢,PS,合併症などを考慮して,シスプラチンか,カルボプラチンのどちらかを選択する.
・抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(テセントリク),デュルバルマブ(イミフィンジ)で小細胞癌への適用が拡大され,20年ぶりに大きく治療が変わった.
・1次治療で完全奏効(CR)となった場合には,予防的全脳照射(PCI)を追加するかどうかも検討する.
・2次治療では,再発までの期間が3か月以上か以内かでsensitive relapseとrefractory relapseに分けて治療選択をする.
◆病態と診断
A病態
・小細胞肺癌は肺癌のなかの10~15%を占め,喫煙と関係の強いタイプである.
・増殖速度が速く,早期にリンパ節転移や遠隔転移を認める悪性度の高い腫瘍である.
・非小細胞肺癌と比較して,放射線治療や化学療法に対する感受性が高いとされてきた.しかし,非小細胞肺癌で相次いで発見されているドライバー遺伝子変異(→,「非小細胞肺癌」の項を参照)は小細胞肺癌ではなく,有効な分子標的薬はない.
・また,免疫チェックポイント阻害薬(ICI:immune checkpoint inhibitor)単剤の効果は低く,非小細胞肺癌の治療と比べ,この20年間大きな治療の進歩がなかった.
・しかし,最近になりいくつかの第Ⅲ相試験で抗PD-L1(programmed cell death ligand 1)抗体薬とプラチナ+エトポシドとの併用療法の有効性が示され,注目されている.
B診断
・肺門部に腫瘤がみられ,肺門リンパ節,縦隔リンパ節が腫大している場合に小細胞肺癌を考える.
・小細胞癌に特徴的な腫瘍マーカーはNSE,ProGRPがあり,こ