診療支援
治療

非小細胞肺癌
non-small cell lung cancer
仁保誠治
(獨協医科大学教授・内科学(呼吸器・アレルギー))

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GL肺癌診療ガイドライン2022年版―悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む

ニュートピックス

KRAS G12C変異を有する進行非小細胞肺癌に対する初めての分子標的薬として,ソトラシブが承認され,2次治療以降に使われるようになった.

治療のポイント

・切除可能か否か,切除不能局所進行癌であれば根治的胸部放射線治療が可能か否か,Ⅳ期であればドライバー遺伝子(EGFRALKROS1BRAFMETRETNTRKKRAS)異常の有無,PD-L1発現状態を確認して,治療法を選択する.

・薬物治療の期待できる効果,予想される副作用について説明し,患者の意向を踏まえたうえで治療法を選択する(共有意思決定).

・全身状態が不良の場合や患者の意向で緩和治療を選択することもある.

◆病態と診断

・非小細胞肺癌は肺癌全体の85%を占め,組織型のなかでは腺癌が最も多い.

・扁平上皮癌や小細胞癌の患者の多くは喫煙歴を有し,非喫煙者の肺癌の多くは腺癌であるが,腺癌でも喫煙歴を有する患者は半数を占める.

・気管支鏡検査やCTガイド下生検などで病理診断を行い,進行癌ではドライバー遺伝子検査PD-L1の免疫染色を行う.

・複数のドライバー遺伝子の異常を調べる必要があるため,近年では一度の検査で複数の遺伝子検査が可能な遺伝子パネル検査が主流となってきた.

・画像検査として胸腹部CT(可能な限り造影),脳MRI(可能な限り造影),PET/CTまたは骨シンチを行い,病期診断を行う.

◆治療方針

 画像検査に基づいて病期を診断し,治療方針を決定する.切除可能な非小細胞肺癌はもとより,切除不能局所進行非小細胞肺癌で根治的胸部放射線治療が可能な患者の治療目標は治癒である.Ⅳ期の場合は,延命と症状緩和が治療の目的となるが,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の導入により,長期予後が期待できるようになってきた.

 肺癌の薬物治療

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