ＧＬ動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版

ニュートピックス

・日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」において，冠動脈疾患の既往を有する患者において特に厳格な管理が必要な病態として，従来の急性冠症候群，家族性高コレステロール血症，糖尿病に加えて「アテローム血栓性脳梗塞の合併」が追記された．

治療のポイント

・冠動脈疾患の1次予防においては，動脈硬化のリスク因子の合併の程度を考慮したLDLコレステロール値の管理目標値の達成を目標に，生活習慣指導および薬物療法を行う．

・冠動脈疾患の2次予防においては，特に厳格な管理が必要な病態である，急性冠症候群あるいは家族性高コレステロール血症，糖尿病およびアテローム血栓性脳梗塞を合併した場合は，LDLコレステロールの管理目標値を70mg/dL未満とする．それ以外のLDLコレステロールの管理目標値は，100mg/dL未満とする．管理目標値を目指して生活習慣指導および薬物療法を行う．

・優先すべきはLDLコレステロールの管理目標値であるが，LDLコレステロールの管理目標値が達成されればnon-HDLコレステロールの管理目標値の達成を目標に生活習慣指導および薬物療法を行う．

◆治療方針

　脂質低下療法の目的は，冠動脈疾患および脳血管疾患などの動脈硬化を起因とする疾患の発症予防である．生活習慣の指導が優先されるが，生活習慣の指導のみでは十分でないことも多く，その場合は薬物療法が積極的に考慮される．

A冠動脈疾患発症予防のための治療

1．LDLコレステロールの管理

　LDLコレステロール値低下を目標とした治療がまず優先される．第1選択は，処方例の1）～3）いずれかのスタチンである．スタチンは，CK値上昇，肝機能障害などの副作用が一定の割合で起こることが知られており，その点を患者に指導しておく．スタチンを増量してもLDLコレステロールの管理目標