GL不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)
GL2021年JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈非薬物治療
ニュートピックス
・ヒス束や左脚領域ペーシングなど刺激伝導系ペーシングがCRTの代替治療として期待され,臨床研究が進んでいる.
治療のポイント
・低心機能に伴う慢性心不全の治療であり,十分な心不全薬物治療のうえに成り立つ.
・CRTは,心房リード,右室リードおよび左室リードによるペーシングシステムを用いて電気的に左室収縮の同期不全を是正する.
・左室収縮の同期性が得られること(再同期)で,血行動態が改善し,心不全症状や予後の改善に寄与する.
・左室リードは経静脈的(右心房→冠静脈洞→左室心外膜側を走行する冠静脈)に留置することが一般的であるが,外科的に心外膜側から左室壁に留置することもある.前者では冠静脈の走行によるリードの位置が効果に影響する.
・約30%に効果が得られない例(ノンレスポンダー)が存在する.
・致死性心室不整脈に対する除細動機能付きデバイス(CRT-D)もある.
◆病態と診断
A病態
・低心機能の心臓では,左室収縮のタイミングに壁局所でずれが生じていることがある(心室内同期不全).このため,効率のよい左室収縮が得られず,十分な血液を駆出できなくなり,代償性に左室は拡大し,僧帽弁逆流も増強する.
・左室収縮の同期不全を示す最も信頼性の高い指標はQRS幅と左脚ブロックである.
・房室ブロックを伴う例(房室間同期不全)や右室・左室の収縮タイミングがずれている例(心室間同期不全)もある.
・低心機能であるため,致死性心室不整脈による突然死リスクもある.
B診断
以下の1)~4)を認めた場合,CRTの適応として推奨される.
1)慢性心不全患者(NYHA心機能分類Ⅱ度以上)で左室駆出率≦35%.
2)心電図でQRS幅の延長(≧120msec).
3)心電図で完全左脚ブ