診療支援
治療

WPW症候群
Wolff-Parkinson-White syndrome
清水 渉
(日本医科大学 教授・循環器内科学)

頻度 よくみる(1~2/1,000人)

GL不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)

GL2020年改訂版不整脈薬物治療ガイドライン

GL2022年改訂版不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン

治療のポイント

・WPW症候群は心電図で診断される疾患であり,無症状の場合には通常経過観察とする.

・動悸や失神などの症状がある場合には,治療方針の決定に,原因となる頻拍発作時の心電図記録が重要である.

・治療には,薬物治療,カテーテルアブレーション,外科的治療があるが,一定の頻度で頻拍発作を認め症状を有する場合には,カテーテルアブレーションによる根治療法を勧める.

・薬物治療には,頻拍発作の停止と予防があるが,心房細動合併時などには使用を避けるべき(禁忌)薬剤もあり注意が必要である.

◆病態と診断

A病態

・WPW症候群は早期興奮症候群ともよばれ,房室結節以外の副伝導路(ケント束)を有することにより,心電図上でデルタ波を有し,さまざまな頻拍発作をきたしうる疾患である.

心電図上のPR(PQ)時間の短縮,デルタ波,QRS幅の増大の3主徴により診断される.

・頻度は0.1~0.2%であり,多くは無症状で健診などで発見されることが多い.

動悸や失神の原因となる頻拍発作は,房室回帰性頻拍(AVRT:atrioventricular reciprocating tachycardia)または心房細動(AF:atrial fibrillation)の合併である.AVRTは発作性上室性頻拍(PSVT:paroxysmal supraventricular tachycardia)の1つである.

・AVRTは,通常,房室結節を順行性に,副伝導路を逆行性に伝導する回路によるリエントリー性頻拍であり,デルタ波のないQRS幅の狭い150bpm前後の規則的な頻拍(regular narrow QRS tachycar

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